2012年09月04日

10月1日から始まるテレビのラウドネスってなんですか?

昨日辺り、ニュースや新聞で「10月1日からテレビのバラバラ音量を統一」
というニュースを読んだ方もたくさんおられるのではないでしょうか?
「ラウドネス値を統一」?いったい何のことなのさ???バンド?w
という方が多いかとおもいます。

実はこの「ラウドネス」のまっただ中にいる私でしてw
普通の皆様にも分かるように簡単にちょこっとだけ説明したいとおもいます。
(ちょw今まで基準無かったのかよ!wとか、だいぶ誤解をされている方も多い様なので…)


●今まで基準は無かったのか?
そんなことはありません、
これまではVUメーターとサンプルピークメーターが一応基準でした。
(ピークメーターの話は置いておきますが)
このVUメーターの振れ方が大きすぎれば局側に怒られるw
僕らの仕事はこの「VUメーターによって音声レベルを管理する」
これが一番大きな仕事でした。

しかしこのVUメーター人によってとらえ方が様々なのです。
ミキサーAさんは0を頻繁に超えて+1〜2位たまに+3の振れ。(今までのスタンダードがこんな感じだったかな?と)


ミキサーBさんガンガン振らせる。(これはでかすぎるけど実際こういうミキサーさんいますw)


ミキサーCさんは0を超えない振れ方(今回の基準だとこれよりちょい大きい振れ方かな)


などなど、メーターの見方が千差万別だったのです。
※括弧内はあくまでも私のVU基準です

●レベル上げ合戦
これまで番組とCMとの間で熾烈なレベル上げ合戦が繰り広げられてきました。
CMは商品を視聴者に売り込みたいので番組より音量を大きくしたい。
でも、番組もCMにも負けたくないし他のチャンネルより大きくしたい
番組がレベルを上げるとCMも上がる、そうすると私たちもギリギリを攻める…
するとCMも…いたちごっこと言うやつです。
「CMよりデカイ音にして」なんて会話が日常飛び交っていました。

しかしこれ、単純にVUの振れ方が大きくなるだけではないのです。
さらにドンドン耳障りな音になっていくのです。

●耳障りな音
音量感はVUメーターのレベルだけで決まるわけではありません。
音質も関係してきます。
たとえば同じVUメーターの振れ方でもある帯域を強調することで
人間に大きい(騒がしい)と感じさせることができるのです。
さらにリミッターでVUが大きく振れない様にする等々
番組の音もCMの音もどんどん固い音になっていく。
決して音質のいい音とは言えない音になっていました。

●やっとかよw今まで放置かよw??
やっとかよ、今まで出来なかったのかよww
と思う方が大勢いるかとおもいます。

アナログ放送の時は番組を送出する際、リミッターがかけられて
放送されていました。
しかしデジタル放送になるのを機にそのメリットを生かすため
リミッターが外されました。
アナログ時代もCMとの音量さはありましたが、
デジタル放送になってこの問題が顕著になってしまったのです。

この状況を打開する為の模索が始まったのが2000年
2006年にラウドネスメーターの要求条件が出来て、
2011年に運用ルールが勧告されました。
これは国際的な基準です。日本国内の運用基準が決まったのも去年です。
つまり基準が出来たのが最近の話、国際的な流れの中で日本が遅いわけではないと思います。

※アメリカ4大ネットワーク、ヨーロッパなどではすでに運用が始まっていて、
ドイツオーストリアなどでは今月9月から運用が始まっています。
(ちなみにこのラウドネスメーターかなり複雑な計算処理をしているらしいです)

もう一つラウドネスメーターの導入スケジュールもあるかと思います。
ラウドネスメーターを導入しなければいけないのは
テレビ局だけではありません、
録画番組ではテレビ局側でラウドネス値を調整するわけではないのです。
私が働くポストプロダクションの段階で調整します。
もちろん納品して基準を超えていた場合は、突き返されます。
調整するというか、-24LKFSを目標にミックスするのです。
(若干数値が上回ってしまった場合は全体を下げますが、一発で-24LKFSになるミックスが
出来る技が要求されるようになると思うのです。
納品はテープなので、1回ミックスしてダメだった場合は、実時間テープに録音していくのです)

つまりポスプロにとってはメータの導入が必須でMA室の数+α必要になります。
ハードウェアのメーターだと1台20万くらいから…高いものだと200万超え…
番組制作費がガンガン下がっているこの昨今、ポスプロにとっては大きい出費です。
※当たり前ですが、ラウドネスメーターの購入費用なんてテレビ局から出ません!

前置きが長くなりましがw
●で、ラウドネスってなんぞや?

すごく簡単に言いますと…
VUメーターが電気的な数値を測定していたのに対し、
ラウドネスメータは「人間が聞いた時に感じる音量感」を測定し数値化するのです。
たとえば、上に書いた人間に耳障りな周波数が強調されていると
ラウドネスメーターの数値が大きく反応するのです。
(人間の耳の感度に合わせた特性が加味されているのです)
数値が上がるとその部分は下げざるを得ないので、音量を下げることになる
しかし極端に番組全体の音量をさげるわけにもいかないので
耳障りな部分の音量を抑えてミックスすることになる。

こんな良いメータがやっと出来た!救世主だ!この特性を持ったメーターを導入してバラバラな音量感を
「平均ラウドネス値 -24LKFS」という数値を明確な基準として統一しましょう。
というのが今回の10月1日お話なのです。

ちなみにすでに運用が始まってる局もありますが、今までと比べるとだいぶ音量が下がるかと思います。
そして、NHKさんは来年の4月からこの運用が始まります。
それのまでの間、民放とNHKの間でかなりレベル差がでるかな?と思っています。

そうそう、VUメーター無くなるんでしょ?
と言ってる方を見かけますが、たぶんVUメーターは無くならないと思います。
ラウドネス基準で作るにしてもVUが無いと辛いです。

すごーく簡単に書いたんですが、なんとなく伝わったでしょうか?
なんとなく「へーこんなことしてるのね」と分かって頂ければ明日からの仕事
がんばれるかもしれませんw
(まぁ…ホントはこんなに簡単な話じゃ無いんですが…w)

※諸々若干修正しましたw
posted by h_murao at 08:42| Comment(5) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なるほど〜勉強になりましたあ!(^^) 放送局の違いによる導入時期の差でチャンネル毎の音量感の差のことは理解しましたけど、これが導入されるとCMにはいった時にボリュームいじらなくても良くなるんですか?
Posted by たからまる at 2012年09月04日 08:57
たからまるさん>
一応CMも番組も-24LKFSで統一されるので、ボリュームいじらなくて良くなるはずなのですが、
実際始まってみないと、僕らもなんとも言えない部分が多いのです。
あくまでも平均値なので、CMに入る前の音量が低ければ差は生まれますし。
(大抵CM前って派手になるんですけどね)
でも、以前みたいな極端なのはなくなるかと思います。

この1年模索しながら規準に合わせるミックスを研究してきたのですが、
10月からは実際どんな音が良いのか?という模索が始まるのかなーとおもっとりますw
Posted by ムラオ at 2012年09月04日 09:06
動画もつけて平易に書いてくださり、なるほど分かりました。
音の感じ取りを数値にということですね。
音の大小、高低、それぞれバラバラにではなくトータルで
ヒトが感じる音の「大きさ」で扱って行きましょうですね。
10月から、ぐぐっと注意してテレビに向かいますです。
Posted by しょうちゃん at 2012年09月04日 10:07

でも、昔から、「平均VU値」みたいな方法は出来たんじゃないの?  って思うけど、どうなんでしょうか?
Posted by ううぉ at 2012年09月04日 10:22
しょうちゃん>
その通りです。ものすごくおおざっぱに言うと、
ラウドネスメーターが人の耳に似た特性を持った
ものだと考えるとなんとなくわかるかと思います。

ううぉさん>
確かにVUでの平均値というか、基本的な振らせ方みたいなのはありました。
というか今までそれでやっていたのです。
(ナレーションはこのくらいの振れ方で〜とか)
しかしVUメーターは音声レベルの「瞬時値を」表すもので、人間の耳の特性とは必ずしも一致しないものでした。
たとえば、同じ様な番組で、同じ様なVUメーターの振れ方でも
人間が聞こえやすい周波数が多いと音量が大きいと感じるのです。
そこで人間の耳の特性に近いフィルターの入ったラウドネスメーターを導入して音量感を統一しよう
ということなのです。
(わかりましたかね…すみません文章下手で…)
Posted by ムラオ at 2012年09月04日 14:34
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